クィア研究者、アーティスト、活動家の皆さんへの公開書簡

以下は、 Palestinian Queers for Boycott, Divestment, and Sanctions Against Israel (クリックすると原文に行けます)という団体による、公開書簡です。ツイッター上のオフィシャルアカウント @PQ4BDS翻訳許可を取り、以下に日本語訳を掲載します。

また、翻訳を仕事でやったりはしますが、今回は急だったのと、私自身個人的に和訳が苦手なので、表現に不備があったり、内容解釈に問題があるかもしれません。何か問題を発見されたら、コメント欄、あるいはわたしのツイッターまでご連絡いただけたら嬉しいです。

マサキ

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クィアのみなさん、研究者・アーティスト・活動家のみなさんへ

皆さんの中にはイスラエルで行われるクィア系イベントや文化的あるいは学術的な催しに参加する予定をお持ちの方、更にはそれらの催しを支持しているかたもいるかもしれません。宗教的な理由や個人的な都合で、あるいは純粋な好奇心からイスラエルに訪問する予定がある方もいらっしゃるかもしれません。イスラエルに招かれることは心躍るすてきなことに感じられるかもしれませんが、皆さんが立場を決めて飛行機の予約をする前に、以下の公開書簡を読んでくださることを切に願います。この書簡はパレスチナ人のクィアたち、活動家たち、研究者たち、そしてアーティストたちからの、世界中のクィアたち、活動家たち、研究者たち、そしてアーティストへと差し出された公開書簡です。

私たちは、イスラエルを訪問しようと思っている全ての人にイスラエルとパレスチナにおける人々の生活の政治的・社会的現実について知ってもらいたいと思っています。イスラエル行きの旅行のパンフレットや旅程詳細などには「占領」「パレスチナ人」「ガザ」「アパルトヘイト」「民族浄化」「ボイコット」「難民」という言葉は書いてありません。ですが、イスラエルの占領のもとで生きているパレスチナ人にとっては、それらの言葉こそがかれらの生活を左右しているのです。パレスチナ人として、そしてクィアとして、これらの言葉は私たちの歴史を左右して来ましたし、そして私たちの未来をも決定し続けるのです。

この難しい紛争のさなかでイスラエルをボイコットすることは、偏りすぎていることに感じられるかもしれません。まだ議論の余地があるような、意見のわかれる問題だと感じるかもしれません。そもそもこのボイコット運動が効果を持つかのどうか分からないという人もいることでしょう。この問題についての皆さんとの対話に向けて、私たちは以下に、このボイコット運動とイスラエル/パレスチナについての背景情報を用意しました。また、皆さんにはぜひとも私たちとコンタクトを取り、ボイコット運動に関して疑問に思うこと、「それはどうなの?」と思うことなどを私たちと一緒に考えて頂きたいとも思っています。私たちの目標は、全ての人がイスラエルとパレスチナについて歴史をふまえた理解を持つこと、そして全てのクィアたち、研究者たち、活動家たち、そしてアーティストたちがパレスチナの市民社会のイスラエル・ボイコット運動を支援してくださることです。

1. 今回のボイコット運動にしろ、文化的ボイコット・学術的ボイコットにしろ、あまり知りません。それらは何ですか?

2004年4月、パレスチナの研究者及び知識人がラマラ(ヨルダン川西岸の都市)に集まり、学術的・文化的にイスラエルをボイコットする活動(the Palestinian Campaign for the Academic and Cultural Boycott of Israel [PACBI])を開始し、国際的に広まりつつあったボイコット運動へと参入しました。同年7月には世界に向けて「ボイコットの要請」を出し、以下の点について要請しました。

– イスラエルの学術的・文化的組織の包括的かつ継続的なボイコットを、1967年にイスラエルが占領した土地(東エルサレムを含む)から立ち退くまで行うこと。
– それらの土地から、全ての植民地を取り除くこと。
– パレスチナ難民の権利の復活に関する全ての国連決議を遵守すること。
– アパルトヘイト制度を解除すること。

この声明は広い支持を得て、現在までのあいだにパレスチナの学術的・文化的あるいは他の市民社会組織、労働組合、その他含め60以上の団体によって支持されています。その中には、大学教員・職員労働組合連合(the Federation of Unions of Palestinian Universities’ Professors and Employees)やヨルダン川西岸(the West Bank)のパレスチナNGOネットワーク(PNGO)も含まれています[1]。

[1] http://pacbi.org/etemplate.php?id=867&key=What%20is%20the%20Call

2005年7月9日には、パレスチナの市民の過半数が国際市民団体や良心を持つ世界中の人々に対してイスラエルの広範に渡るボイコット及び投資引き上げを呼びかけました[2]。これは、南アフリカにおいてアパルトヘイトに対抗して行われたボイコット・投資引き上げ・経済制裁運動(Boycott, Divestment, and Sactions Campaigns)の成功を受けてのものでもありました。その際の目的は、イスラエルへとメッセージを送り、イスラエルが自分たちの義務を全うし、パレスチナ人が自らの決定を下す権利を疎外出来ないものとして認識し、国際法をきちんと遵守するよう圧力をかける、というものでした。ボイコット・投資引き上げ・経済制裁運動は、170を超える政党、団体、労働組合、そして各種社会運動によって支持され、それらはパレスチナ人全員の過半数を超える計算になります。参加者や支持者の幅広さを考えると、この運動はイスラエルのアパルトヘイトに反対する非暴力運動の中で最も規模の大きいものです[3]。

[2] To read the official call: Palestinian United call for boycott, http://www.bdsmovement.net/?q=node/52

[3] http://www.bdsmovement.net/?q=node/159

その後、2010年7月27日にはパレスチナのクィア活動家たちによって、全てのLGBTQI団体、世界中の団体と個人に向けて、アパルトヘイトを行っているイスラエルのボイコットをするよう、呼びかけが出されました。[4]

[4] http://pqbds.wordpress.com/2010/06/28/palestinian-queers-for-bds-call-upon-all-queer-groups-organizations-and-individuals-around-the-world-to-boycott-the-apartheid-state-of-israel/)

2. しかし私はLGBTQコミュニティと連帯しています。どうやったらクィアな人たちをボイコットすることが出来るのでしょう。

クィアコミュニティとして私たちは、私たちがLGBTQの戦いを支持しようとするときに既に目の前で起きている重い人権侵害に対して、注意を向けなければいけないと信じています。特に、それが抑圧、差別、アパルトヘイトを行うような国という文脈の中では。アパルトヘイトを行う国家の組織への熱心な支持や参加を行うクィア団体やグループの倫理と価値観を、疑う必要があると思うのです。人権は区分けされたり、一部の人のそれが他の人のそれよりも重要になったりしてはいけないものです。私たちパレスチナのクィアたちにとって、パレスチナの人々の権利と闘争は無視することの出来ないものです。これら2つの闘争は、私たちにとっては、並行しているのです。

62年間のあいだ、イスラエルの占領と今なお拡大しているアパルトヘイト制度はパレスチナ人の基本的な人権を否定して来ました。ヨルダン川西岸(the West Bank)に住んでいるパレスチナ人は軍隊による残虐な占領(不法のイスラエル植民地、通行所、障壁の制度、そしてイスラエルの植民者のみが通ることの出来る道路などによる)のもとで生活を送っています。イスラエルの中に住んでいるパレスチナ人は日々差別的な政策の犠牲になっています。現在パレスチナ人を「ユダヤ人ではない」そして「イスラエルの二級市民である」としている法律は25を超えます。世界中に霧散したり(in the diaspora)国連による難民キャンプにいるパレスチナ人は、そもそも国連による帰国権利を否定されています。そして、ガザにいる180万人以上のパレスチナ人は屋外収容所に住んでおり、不法な包囲をされています。その状況は、国際的な専門家の多くが「緩慢な集団虐殺(ジェノサイド)」と呼んでいるほどです。イスラエルの抑圧、人種主義、そして差別は、パレスチナ人クィアもパレスチナ人異性愛者も、区別してはくれません。

3. どのイベントをボイコットしたらいいのですか。

占領とアパルトヘイトが60年以上続いた中、レバノンにおいてイスラエルの行っている戦争の悲惨な影響、2009年のガザ侵攻、そしてボイコット・投資引き上げ・経済制裁運動の大幅な成長を受けて、イスラエル政府は古く、そして新しい「ブランド・イスラエル(Brand Israel)」という大規模なPRキャンペーンを開始しました。その目的は、イスラエルの数十年にわたる戦争犯罪を漂白し、自らを中東の唯一の民主主義的国家であると売り出すことです。

最近になると、漂白(whitewashing)ではなく漂ピンク(pinkwashing)もまたこのキャンペーンの重要な一部となりました。イスラエルの外務省、教育機関、国際的ジオニスト・グループ、親イスラエル・グループ、そしてイスラエルのLGBTQ団体やグループの一部は、イスラエルのLGBTQコミュニティのある程度の成功を利用し、パレスチナの社会をひどく同性愛嫌悪的だと印象づけることによって、反アラブ・イスラム嫌悪的な偏見へと迎合しようとし始めました。この漂ピンクのキャンペーンは文化的な催しを多数含み、LGBTQの団体を対象にしたイスラエルへの旅行を活発にする試みなど、様々な文化的商品が用意されました。このキャンペーンの中心的なテーマは、「イスラエルは中東における、唯一の同性愛者の安息の地であって、パレスチナ人のクィアたちが安心出来る唯一の場所だ」というものです。よって、この文脈における漂ピンクは、アパルトヘイト制度や軍による占領への支持を集めるための手段の1つであって、そしてそれは、「同性愛者の権利」の名の下に行われているのです。

イスラエルのLGBTQグループ、学術組織、そしてイスラエルを支持する世界中の団体の殆どは、この「ブランド・イスラエル」キャンペーンの一翼を担っているにしろそうでないにしろ、イスラエルの戦争犯罪において共犯的な支持者であり、これらの戦争犯罪を漂ピンクしようとする努力はボイコットされなければなりません。前述のPACBI、及びその全体的な決まり事に基づいて言えば、イスラエルにおける殆ど全ての文化的・学問的イベント、グループ、団体(例えば大学、美術館、映画祭など)は、そうでないと明確に証明されない限り、イスラエルの占領を継続することにおいて共犯関係を持っているのであり、ボイコットの対象であります。

4. 具体的にボイコットの対象を教えてください。

以下が例です。

– イスラエルの文化的・学問的組織(大学、美術館、映画祭など): これらは、そうでないと証明されない限りは、国家から予算を受け取っており、よって、イスラエルの占領の継続において共犯関係を持っていますので、ボイコットの対象となります。つまり、そのような組織によって、あるいはそのような組織との協力関係にある者が行う催しは、参加を避けられるべきです。
– イスラエルの戦争犯罪を漂ピンクすることに積極的に加担しているグループ・団体は、ボイコットされるべきです。
– 「イスラエルへの同性愛者の旅行(ツーリズム)」という目論みに加担し、テル・アビブやイスラエルの「中東の同性愛者の安息の地」としての宣伝に加担しているグループ・団体は、ボイコットされるべきです。

5. では、私には何ができるのですか。あなた方(PQ4BDS)はどのような手助けをしてくれますか。

主催者にイベントあるいは商品についての情報を提供して欲しいと要求することは、常に、真っ当なことです。例えば、協賛団体・個人は誰か。イスラエルの公的な組織や共犯関係にある組織から部分的にでも資金を調達しているか。イベントの目的とビジョンはなにか。こういった「本来知り得て当然のはず」の情報についての質問をすることで、たくさんのことが分かって来ます。

また、そういった質問への答えが返ってこなかったり、主催者自身も把握していなかったりしたら、主催者に「PQ4BDSに私の質問をそのまま引き継いでください」と要求しましょう。イスラエルのクィア系グループや団体はこのボイコット運動についてほとんど知りませんし、自分たちのやっていることが構造的な抑圧の一翼を担っているとは気づいていません。かれらを私たちと直接連絡させることで、あなたが必要な情報が手に入るだけではなく、ボイコット運動の重要性について、それらのグループのあいだで意識を高めることも出来るのです。

また、私たちはあなたが個人としてこういった活動をするにあたって、ぜひ手助けをしたいと思っています。必要な情報があれば提供しますし、関係者との連絡も取ります。ボイコットのガイドラインと照らし合わせて、イベントや商品がボイコットすべきものかどうか、あなたに連絡を差し上げます。

今回のボイコット運動、特にクィア系のボイコット運動に関して、どんな質問を持ったとして、「とにかくPQ4BDSに聞いてみよう」と思ってもらえたら嬉しいです。

質問等はこちらにお願いします
pq4bds@gmail.com
(翻訳者注:日本語でメールを送って理解されるかどうか分かりません。英語で送るのがベストかと思いますが、どうしても自分では難しい!という場合は、要点を絞って5行以内で書いて私に送ってもらえれば、英訳してあなたに送り返します。それをPQ4BDSに送って、返事を待ってください。返事の内容が理解出来ない場合は、まずは自分で頑張ってください。だめなら、友達や知り合いに頼んでください。mixiの翻訳関係のコミュニティに投げる手もあります。「もうだめ、ぜんっぜんムリ!他に方法無い!」ってなったら、私に送って来てくださっても構いません。内容を日本語でサラっと要約したものを書いて返信します。私のメールアドレスは chicomasak[at]gmail.com です。)

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公開書簡は以上です。英語の原文を読みたい方は Palestinian Queers for Boycott, Divestment, and Sanctions Against Israel をクリックしてください。

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